製造関連法務の全体像|東京都港区品川駅/製造関連法務(製造から販売・販路拡大、クレーム対応まで)に注力する弁護士/夜間・休日対応
製造から販売、そして販売後の苦情対応、広範な不祥事対応についてのガイドです。法務の観点から、具体的な対応方法や注意点を詳しく解説します。これ一本で企業法務が理解できます。
※法律コラムは、弁護士によって与えられた特定のテーマにつき、吉原綜合法律事務所の弁護士以外により作成された記事をもとに、吉原綜合法律事務所の弁護士の監修&コメント付きでお届けするものです。
法的な知識を深めるための情報を弁護士コメント付きで分かりやすく解説しています。
複雑な法律の内容を平易な言葉で説明し、日常生活やビジネスにどのような影響を与えるのかを具体的にご紹介しています。
また、適宜、弁護士コメントでは、最新の法改正や重要な判例、特定の業界における法的課題や新しい規制の導入や業界動向、業界団体の活動などにも触れています。
製造関連法務とは
まず初めに知っておくべき基本情報、それが製造関連法務です。企業成長における法務の重要性を解説します。
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企業法務の役割とは
製造関連法務の役割は、企業の成長と安定に不可欠です。法務部門は、法的なリスクを見極め、法令や契約の遵守を確保することで、企業の信頼性と競争力を高める役割を果たします。
まず、法務部門は法的なリスクをマネージメントするために活動します。製造業には様々な法律や規制が存在し、その遵守は非常に重要です。法務部門は、ビジネス活動の中で法的な問題が発生しないよう、各種契約のレビューや法令遵守のチェックを行います。さらに、事業拡大や海外進出など、企業の成長に伴って新たな法的なリスクが生じる場合もあります。法務部門はこうしたリスクを予見し、予防策を講じる役割を担っています。
また、法務部門は企業の信頼性を高めるためにも重要な役割を果たしています。例えば、企業が販売する製品やサービスには、消費者保護や競争法などの規制があります。これらを遵守することで、企業は顧客からの信頼を獲得し、市場競争で優位に立つことができます。法務部門は、製品の品質・安全性や広告表現などの観点から、法的な要件をクリアするようサポートし、企業の信頼性向上を図ります。
さらに、法務部門は企業の対外的な関係を保護する役割も担っています。取引先や顧客との契約書の作成や交渉、紛争解決なども法務部門の業務範囲に含まれます。企業としては、契約上の不祥事や紛争を回避し、円滑なビジネス環境を維持することが求められます。法務部門は契約書のチェックやリーガルアドバイスを通じて、企業の対外的な関係を守り、リスクを最小限に抑えることに貢献します。
企業法務の役割は多岐にわたりますが、企業の成長と安定に欠かせないものです。製造業においては、製造・販売から不祥事対応まで、あらゆる業務に法務を適用することで、法的なリスクを回避し、持続的な発展を実現します。しっかりと法務を運営することで、企業は競争力を高め、市場での地位を確立することができるのです。
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製造関連法務の特徴
製造業における法務は他の産業と比較して、いくつかの特徴を持っています。
まず、製造業は製品を生産し、市場に提供するプロセスを持っています。そのため、製品の品質や安全性に関する法的な要件が重要なポイントとなります。製造業では製品の検査・品質管理、安全基準の遵守、製品表示の正確性など、法的な規制に関する知識が求められます。法務部門はこうした規制への適合やリスクマネージメントを担当し、製品に関する法的な問題を未然に防ぐ役割を果たします。
また、製造業ではサプライチェーンの管理も重要な要素です。原材料や部品の調達、取引先との契約、委託生産など多くのパートナーとの関係が存在します。法務部門はこれらの関係においてリーガルリスクをマネージメントし、契約書のレビューや交渉を通じて企業の利益と権益を保護します。特に委託生産においては、製造プロセスや品質管理、知的財産権などのリーガル要件を考慮して契約を締結する必要があります。
さらに、製造業は環境規制にも適応する必要があります。製造プロセスには環境への影響が懸念される場合があり、法的な規制が厳格に設けられています。法務部門は環境基準の遵守や環境対応策の策定、環境許可の取得などに関与し、企業が持続可能な製造活動を行うためのサポートをします。
製造業における法務の特徴を把握することは、適切な法務対応を行うために不可欠です。品質や安全性、サプライチェーン、環境規制など、製造業特有のリーガル要件に対応することで、企業は信頼性を高め、競争力を強化することができます。法務部門はこれらの特徴を踏まえながら、製造業の活動を法的な側面からサポートし、企業の持続的な成長を支える役割を果たします。
クレーム対応と法務
顧客からのクレームが起こったとき、法務はどんな役割を果たすのでしょうか。その一端を紐解きます。
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クレーム対応の基本とは
クレーム対応は製造業において非常に重要な業務です。顧客からのクレームが入った場合、適切な対応を行うことで企業の信頼性を守り、顧客満足度を向上させることができます。ここではクレーム対応の基本について解説します。
まず、クレーム対応の基本は迅速かつ丁寧な対応です。顧客からのクレームは問題や不満を示すサインですので、それを無視せずに真摯に向き合いましょう。クレームを受けたら、まずは迅速に対応窓口へとつなげることが重要です。電話やメールなどの受付体制を整え、顧客のクレームに素早く反応できる体制を整えましょう。また、クレームに対しては丁寧かつ具体的な回答を心がけ、顧客の意見を真摯に受け止める姿勢を示します。
次に、クレームの内容を正確に把握し、適切な対応策を検討することが重要です。クレームの内容を詳しくヒアリングし、問題の本質を把握します。そして、顧客に納得いくような解決策を提案しましょう。ただし、対応策を検討する際には法的な観点も忘れてはいけません。製造業においては、製品の品質・安全性に関わるクレームが発生することもありますので、法令遵守やリーガルリスクを考慮しながら対応を進めましょう。
さらに、クレーム対応の過程や結果を適切に記録することも重要です。クレームの内容や対応結果を詳細に記録することで、同じような問題が再発しないように対策を講じることができます。記録にはクレームの内容や日時、対応者の名前などを含めることが望ましいです。また、情報の共有も大切ですので、法務部門や関係部署とも適切に連携しましょう。
クレーム対応は企業の信頼性を高めるために欠かせない業務です。迅速かつ丁寧な対応、クレームの内容を正確に把握し適切な対応策を検討すること、そして適切な記録管理を行うことが重要です。クレームを機会と捉え、改善点を見つけ出して製品やサービスの改善に繋げることも忘れずに取り組みましょう。
以上の基本を意識してクレーム対応を行うことで、企業の顧客満足度を高めることができます。
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法務が関わるクレーム対応
クレーム対応において、法務部門は特に重要な役割を果たします。法務部門の関与が求められるクレーム対応のケースについて解説します。
まず、法務部門が関わるクレーム対応の一つは、法的なリスクが伴う場合です。製造業においては、製品の品質や安全性に関わる問題が発生することがあります。顧客からのクレームが法的な要件を含んでいる場合、法務部門は法的な観点から適切な対応策を検討します。例えば、製造プロセスに欠陥がある場合や製品の不具合がリスクとなる場合には、製品リコールや法的な対応策を検討する必要があります。法務部門は法的なリスクを評価し、クレーム対応を適切に進めることで法的トラブルを未然に防ぎます。
また、クレーム対応の中には契約関係が絡むケースもあります。製造業においては、取引先との契約や委託契約が基盤となることが多いです。顧客からのクレームが契約違反や損害賠償請求といった契約上の問題を含む場合、法務部門は契約書の解釈や法的な義務に基づいて対応策を検討します。また、製造業においては独自の取引条件や契約書が存在することがありますので、法務部門はそれらの契約条件を理解し、クレーム対応を適切に行うことが求められます。
さらに、クレーム対応において法務部門が関与するケースとしては、紛争解決が挙げられます。顧客からのクレームが解決に至らず訴訟や調停に発展する場合、法務部門は訴訟戦略の立案や法的な対応を担当します。裁判所や調停機関とのやり取り、弁護士との連携などを通じて、企業の利益を守るための対応を行います。また、紛争のリスクを最小限に抑え、円満な解決を図るためにも、法務部門は効果的な交渉手法や法的な論点に精通している必要があります。
法務部門の関与が求められるクレーム対応には、法的なリスクが伴う場合や契約上の問題、紛争解決などがあります。法務部門は法的な知識と専門性を駆使し、クレーム対応を適切に進めることで企業のリスクを最小限に抑え、信頼性と競争力を高める役割を果たします。
食品安全と食品表示の法務
食品製造に特有の法務対応について、分かりやすく解説します。
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食品安全法務とは
食品安全法務は、食品製造業が従事する上で重要な法的な要件と対応策を指します。食品には人の生命や健康に直結する重要な役割があり、その安全性を確保するために食品安全法という法律が整備されています。食品安全法務は、企業が法令を遵守し、食品の安全性に関わるリスクを回避するための法務活動を指します。
まず、食品安全法務は食品の品質・安全性に関わる法的な要件を把握し、適切な対応策を講じることが重要です。食品安全法は、食品の製造・加工・販売・輸入などの過程での規制項目を定めています。例えば、原材料の選定や流通管理、衛生管理、表示などが法的に要求されます。食品安全法務の役割は、これらの法的要件を企業内で周知し、法令遵守を確保することです。法務部門は食品安全法の改正や最新のガイドラインにも目を光らせ、企業が法的な規制に適合するようサポートします。
また、食品安全法務は企業のクレーム対応や事故対応にも関与します。食品製造業にはクレームや事故発生のリスクが存在し、それに関連する法的な問題が生じることがあります。食中毒や健康被害などの問題が発生した場合、法務部門は迅速かつ的確な対応を行う必要があります。法的なリスクを減らすため、法務部門は対応策の立案や情報の収集・管理、民事や刑事の法的手続きのサポートを担当します。また、事故やクレームの原因究明や再発防止策の検討にも関与し、再発を未然に防ぐための取り組みを行います。
食品安全法務は、食品製造業において顧客の安全と信頼性を守るために欠かせない業務です。食品の品質・安全性に関わる法的な要件を遵守し、リスクを最小限に抑えることが求められます。食品安全法務は法令遵守という義務だけでなく、企業の社会的責任やイメージ向上にも寄与する重要な役割を果たします。法務部門は食品安全法に関する知識を深め、企業の食品安全への取り組みを法的な側面から支援することで、食品業界の発展に寄与するのです。
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食品表示法務とは
食品表示法務は、食品製造業が食品の表示に関する法的な要件を遵守し、適切な情報提供を行うための法務活動を指します。食品表示は消費者が商品を選ぶ際に重要な情報源となります。食品表示法務は、消費者の適切な情報提供と企業の法令遵守を両立させるための役割を果たします。
まず、食品表示法務は食品表示に関連する法的な要件を把握し、適切な表示を行うことが重要です。食品表示法は、商品名や原材料表示、栄養成分表示、アレルギー物質の表示など、食品パッケージや広告における表示に関するルールを定めています。法務部門はこれらの法的要件を理解し、企業内での適切な表示の実施を支援します。また、表示に関する最新のガイドラインや規制の改正点にも常に目を光らせ、企業が法的な規制を遵守するよう助言します。
さらに、食品表示法務は消費者保護や競争公正の観点からの対応も重要です。食品表示は消費者を保護し、適切な選択を促すためのものです。法務部門は企業の広告・販売資料の内容を監視し、虚偽や誤解を招く情報がないかを確認します。また、競合他社の表示を比較検証し、公正な競争環境を維持するために法的な対応策を検討します。食品表示においては、正確な情報提供と消費者の利益を守るため、法務部門の関与が重要な役割を果たします。
食品表示法務は、企業の商品情報を適切に伝えるために必要な業務です。正確な表示をすることで、消費者の信頼を獲得し、ブランド価値を向上させることができます。また、法的な要件を遵守することで、商品に関する法的なトラブルを未然に防ぐこともできます。法務部門は食品表示法に関する知識を深め、企業の食品表示のプロセスを法的な観点からサポートします。法令遵守と消費者保護の側面を意識した食品表示法務の実施により、企業は商品の信頼性や市場競争力を高めることができるのです。
委託生産と法務
製造業では委託生産も一般的です。その際どのような法務対応が求められるのでしょうか。
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委託生産の法務とは
委託生産の法務は、製造業における特有の関係性に基づく法的問題を解決するための法務活動を指します。委託生産は、製造業が自社の製品を他の企業に生産委託する方法です。このような委託関係には法的な視点が求められ、法務部門は様々な法的な要件を遵守し、リスクを回避する役割を果たします。
まず、委託生産の法務は契約上の問題に関わることがあります。製造委託契約は、生産プロセスや品質管理、納期、価格などの詳細を定めた契約書であり、双方の権利と義務を明確にします。法務部門は契約書の内容を詳細にレビューし、企業の利益を守るための契約条件を確保します。また、契約上のトラブルが生じた際には法的な解釈や対応策を検討し、委託生産の運営においてリスクを最小限に抑える役割を果たします。
さらに、委託生産の法務は知的財産権に関わることもあります。製造企業は自社の技術やノウハウを他社に提供する場合がありますが、それに伴って知的財産の保護も重要です。法務部門は知的財産権の適用や管理、保護策の立案を行います。特許や商標の登録や権利侵害の防止策など、知的財産権の維持と保護を確実にすることで、企業の技術力や競争力を守ります。
また、委託生産の法務は労働関係にも関与します。製造業は外部の業者に生産を委託することで、顧客の需要に応じた効率的な生産を実現しています。しかし、その過程で労働法や労働契約、労働条件の遵守が求められます。法務部門は労働法に準拠した労働契約の作成や適正な労働条件の確保をサポートし、労働関係における法的な問題を予防・解決する役割を果たします。
委託生産の法務は、製造業が他社に生産を委託する際に法的な問題を解決し、リスクをコントロールするための重要な業務です。契約上の問題、知的財産権、労働関係など様々な法的要件を把握し、法令遵守と企業の利益を守るための対応策を講じます。法務部門は委託生産の運営において法的な観点から企業を支援し、委託関係におけるリスクを最小限に抑えることに貢献します。
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委託契約の法務対応
委託契約の法務対応は、委託生産において特に重要な役割を果たします。委託契約は製造企業と受託企業の間で行われる重要な契約であり、双方の権利と義務を明確にすることが求められます。委託契約の法務対応では、以下のようなポイントに注意する必要があります。
まず、委託契約の作成にあたっては、契約内容を明確かつ具体的に定めることが重要です。委託される業務の範囲や品質基準、納期、価格、機密保持など、双方にとって重要な事項を契約書に明示しましょう。法務部門は契約書のレビューや改定において、法的なリスクを考慮し、企業の利益を守るための適切な契約条件を導き出します。また、契約書の作成時には、専門家の助言を受けることもおすすめです。
次に、委託契約の履行においては、契約条件の遵守と品質管理が重要です。製品の品質や仕様に関する取り決め、納期の厳守、機密情報の保護などについては、委託企業とのコミュニケーションを密にし、委託契約の条項を順守しましょう。法務部門は契約条件の遵守を監視し、契約上の問題が生じた場合には法的観点からの対応策を検討します。
また、委託契約の終了時には、契約解除や機密情報の返還などの法的手続きが求められることがあります。委託契約の終了に伴うリーガルリスクを回避するためにも、法務部門は適切な手続きと情報管理を行います。契約終了の際には、契約解除の通知などの手続きを適切に行い、機密情報の管理と返還に関する法的な要件を遵守しましょう。
委託契約の法務対応は、企業が委託生産を円滑に運営し、リスクを最小限に抑えるための重要な業務です。契約書の作成、条件の明示、契約履行、終了時の手続きなど、様々な局面で法務部門の関与が不可欠です。法務部門は契約上のリスクを把握し、契約条件を企業の利益を守る形で構築します。また、受託企業とのコミュニケーションを通じて、契約の円滑な履行とリスクの回避をサポートします。
弁護士コメント
商品リコールと法務
商品に欠陥が見つかった時、どのように対応すべきなのでしょうか。その法務対応について詳しく見ていきましょう。
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リコールの基本
リコールは、商品に問題があると判断された場合に行われる重要な対応策です。リコールの基本について解説します。
まず、リコールの基本は迅速かつ積極的な対応です。リコールが必要と判断された場合、まずは迅速に行動しましょう。消費者の安全と信頼を最優先に考え、適切な措置を講じることが重要です。リコールの手続きやプロセスを事前に計画し、迅速な情報発信と対応策の実施を行います。
次に、リコールの実施には適切な情報提供が欠かせません。消費者に正確で明確な情報を提供することが求められます。リコールの理由や影響範囲、対象商品の識別方法、返金や修理の手続きなど、消費者が必要な情報を的確に伝えましょう。また、情報提供は広範なメディアや公式ウェブサイト、お客様対応窓口を通じて行われるべきです。
さらに、リコールにおける顧客への対応も重要です。消費者からの問い合わせやクレームに対しては迅速かつ丁寧に対応しましょう。お客様の声を真摯に受け止め、適切な対応策を提供することが求められます。法務部門は、法的な観点から適切な情報提供と対応が行われているかを監視し、消費者保護や法的要件の遵守をサポートします。
リコールの基本は、迅速かつ積極的な対応、正確で明確な情報提供、顧客への的確な対応です。企業はリコールを通じて消費者の安全を確保し、信頼を回復する重要な機会と捉えるべきです。法務部門はリコールの計画立案や情報提供、顧客対応において法的な観点からサポートし、企業のリスクを最小限に抑え、信頼性とブランド価値の向上に貢献します。
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リコール際の法務対応
リコール発生時には、法務部門の関与が不可欠です。リコール際の法務対応には以下のようなポイントがあります。
まず、法務部門はリコールの法的な要件を確認し、適切な手続きを行うことが重要です。リコールは法的な手続きを伴う場合がありますので、法務部門は国内外の関連法や規制を把握し、リコールの手続きを遵守するためのサポートをします。また、法的なリスクに関するアドバイスや各種契約のレビューも行い、企業が法的な要件を遵守するように支援します。
次に、法務部門はリコールに関する公共機関や監督当局とのコミュニケーションを担当します。リコールの実施や報告書の提出など、関連する法的手続きが必要な場合には、法務部門が対応します。法的な文書の作成や公的な要請への対応、法的な資料の管理なども、法務部門の役割となります。
さらに、リコールにおいては法的な紛争や訴訟のリスクも存在します。顧客からの損害賠償請求や製品安全に関する訴訟など、法的な争いが発生した際には、法務部門が対応策を検討し、企業の利益を守るための法的手続きをサポートします。また、製造プロセスや品質管理に関わる法的なリスクを予防するため、法務部門はリコールの原因分析や再発防止策の策定にも関与します。
リコール際の法務対応は信頼の回復や法的なリスク回避のために欠かせない要素です。法務部門はリコールの法的手続きの遵守や関連法の把握、公共機関とのコミュニケーション、紛争や訴訟への対応策の検討など、法的な側面からの的確な対応を行います。企業は法務部門と連携し、リコールに対する法的なリスクを最小限に抑え、信頼性を回復させることが求められます。
不祥事と法務
企業から不祥事が発生したとき、法務がどのように対応すべきなのかを示します。
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不祥事発生時の法務対応の角度
不祥事発生時の法務対応では、法務部門は企業の利益と信頼の回復を目指して重要な役割を果たします。不祥事発生時の法務対応の角度としては、以下のようなポイントがあります。
まず、法務部門は不祥事の原因究明に向けた調査を行います。不祥事の背後には法的な違反や問題が潜んでいる場合がありますので、法務部門は適切な調査手続きを行い、法的なリスクや法的責任を特定します。調査結果に基づき、適切な対応策を検討し、企業の法的な問題を解決する役割を果たします。
次に、法務部門は不祥事の影響評価を行います。不祥事が企業に及ぼす影響やリスクを把握し、経営上の損失や法的リスクの範囲を評価します。これにより、企業がリスクに対処し、損害を最小限に抑えるための法的な対策を講じることが可能です。
さらに、法務部門は公的機関とのコミュニケーションを担当します。不祥事に関連する報告書や情報提供、公的な要請への対応を行い、適切な情報提供と協力を行います。また、法的な手続きや法的資料の管理も法務部門が担当し、法的な観点からの対応がなされます。
不祥事発生時の法務対応は、企業の利益と信頼の回復を目指す重要なプロセスです。法務部門は不祥事の原因究明、影響評価、公的機関とのコミュニケーションなど、法的な角度からの対応を行います。企業は法務部門と連携しながら、不祥事への対応策を検討し、法的リスクを最小限に抑え、信頼性の回復に努める必要があります。
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不祥事発生時の法務対応の事例
不祥事発生時の法務対応の事例としては、以下のようなケースがあります。
まず、製品の安全性に関わる不祥事が発生した場合、法務部門はリコールの実施や消費者保護の対応策を検討します。製品の安全性に問題がある場合、法的な視点からの対応が不可欠です。法務部門は法的な手続きや情報提供の遵守を確保し、適切なリコール戦略やクレーム対応を実施します。
また、企業幹部や役員による不正行為や汚職の発覚が不祥事として浮上した場合、法務部門は法的リスクの評価や内部調査を行います。不正行為や汚職に関与した者に対する法的措置や法的な紛争の発生に備えるため、法務部門は適切な法的戦略や法的文書の作成を支援します。
さらに、企業の環境問題や労働法違反などの不祥事が発生した場合、法務部門は関連法や規制の把握と遵守、対応策の立案を行います。法的なリスクを確認し、企業の法的責任を最小限に抑えるため、適切な法的アドバイスや法的措置を提供します。
不祥事発生時の法務対応は、企業の存続や信頼性の維持に不可欠です。法務部門は不祥事の性質や規模に応じて、リコールの実施や法的リスクの評価、内部調査や法的措置の支援など、適切な法的な対応策を講じます。企業は法務部門との密な連携を通じて、不祥事発生時に法的なリスクを最小限に抑え、業務の再建と信頼の回復に取り組む必要があります。
リーガルテックと法務
最後に、法務業務を助ける新しい技術、リーガルテックについて解説します。
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リーガルテックの基本
リーガルテックは、法律業務を効率化し、革新的な解決策を提供するための新しい技術です。リーガルテックの基本には、デジタル化、自動化、AI、ビッグデータ解析などが含まれます。これらのテクノロジーを活用することで、法務部門は業務の効率化、時間とコストの削減、リスクマネージメントの向上を実現できます。リーガルテックは法務部門に革新的な変革をもたらし、法的な課題を効果的に解決するための重要なツールとなっています。
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リーガルテックの活用による法務の進歩
リーガルテックの活用により、法務部門はさまざまな進歩を遂げています。まず、データの自動化と効率化によって、法的な調査や文書管理などの業務が大幅に改善されています。AI技術の活用により、契約書の自動生成やリスク評価、法的なアドバイスの提供がスムーズに行われます。また、ビッグデータ解析により、予測分析やリスク管理の精度が向上し、法務部門は企業の意思決定に貢献することができます。さらに、クラウドベースの法務ソフトウェアやデジタルコミュニケーションツールの活用により、情報共有やチームコラボレーションが円滑に行われます。これにより、法務部門はより迅速かつ効果的に業務を遂行し、企業のビジネスに大きな価値をもたらすことができます。リーガルテックの活用により、法務部門は従来の方法に比べて効率が向上し、より戦略的な法的サポートを提供することができるのです。
まとめ
この記事の要点と、より良い法務対応につなげるためのアドバイスをお伝えします。
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製造関連法務対応の要点
製造業における法務対応の要点は以下の通りです。まず、法律や規制に関する遵守が不可欠です。製品の安全性や品質基準の遵守、取引先との契約の適正性などを確保しましょう。また、リスクマネジメントも重要です。法的なリスクを早期に特定し、適切な対策を講じることが求められます。さらに、コンプライアンス教育や社内規程の整備にも力を入れ、全社員が法的な要件を理解し、遵守できる環境を作りましょう。法務部門と連携し、企業全体で法的なリスクを最小限に抑え、安定した事業運営を実現することが重要です。
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更なる進歩に向けて
製造業における法務対応の更なる進歩に向けては、以下のステップが考えられます。まずは、新たな法的な要件や規制の変化に対応するために、法務部門は常に情報を収集し、アップデートする必要があります。また、リーガルテックの活用を進めることで、法務業務の効率化やリスクマネジメントの向上を実現することができます。さらに、法務部門との密なコミュニケーションを強化し、法務戦略を企業戦略に統合して進めることも重要です。最後に、法律事務所や専門家とのパートナーシップを築き、専門知識や対応力を補完することも検討しましょう。これらの取り組みにより、製造業の法務対応はより効果的になり、企業の成長と継続的な進化を促進することができるでしょう。
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